樹脂成形コラム

成形品のボイド不良

樹脂成形コラム

2015年11月2日

成形品の不良のひとつにボイド不良があります。

ボイドとは成形品の内部に出来る「気泡」のことです。特に肉厚の成形品に多く見られます。これがあることによって製品に必要な強度が出なかったり、透明品などでは外観不良になったりします。

ボイド不良は発生原因によって大きく2種類に分けられます。

1つは成形時に金型内で空気やガスを巻き込み気泡として成形品に残るものです。この場合は成形条件でガスの発生を抑えたり、射出スピードで空気の巻き込みを抑えるよう調整するか金型にガス抜きを追加することで対処します。それでも流動末端に出来てしまうボイドには、成形後に切って捨てる部分を作って、そこにボイドを追い込んでしまう方法もあります。

もうひとつは特に肉厚成形品で樹脂が冷え固まるときに収縮して内部で真空の状態で出来る気泡で、一般に真空ボイドを呼んでいます。成形品の外側が収縮すればヒケになりますが内部が収縮すると真空ボイドになります。成形条件で樹脂の充填率を上げるか、金型でゲート位置をボイド近くに変更するか薄肉にするしかありません。

いずれにしても透明の樹脂ならボイドは発生しているかどうかは見てすぐにわかるのですが着色された樹脂だと成形品を割ってみないとわかりません。同じ成形条件でも発生するものと発生しないものがあり、安定させるのは非常に困難です。肉厚の製品を設計する場合、真空ボイドは発生するものとして強度設計する必要があります。

どうしても検査が必要な場合は光を透過させてボイドを発見する方法もありますが、ナイロンやPPのナチュラルのような乳白色が限界だと思われます。

 

 

 

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