樹脂が割れる原因「ケミカルクラック」とは
2014年09月16日
こんにちは、営業部 杉本です。
樹脂は割れてしまう現象「ケミカルクラック」についてご紹介致します。
ケミカルクラックとは名の通り、薬品による割れの事を指します。
樹脂製品の応力がかかっている所に薬品(洗剤など)が付着し樹脂内部まで浸透し、応力との相互作用でその部分に亀裂が生じ、割れに至るケースをそう呼んでいます。
ケミカルクラックの特徴
ケミカルクラックの特徴は比較的早い時期(使用後1~2年位)に樹脂が割れてしまうということです。
成形に何の問題が無くても不良品と間違われてしまうケースも多いので注意が必要です。
「ケミカルクラッキング」・「ストレスクラッキング」等とも呼ばれています。
ケミカルクラックの原因
原因は以下のように表すことが可能です。
・内部歪み + 応力 + 化学物質 =ケミカルクラック
内部の歪みとは、樹脂成形時、内部に蓄積された応力のことです。
応力とは、人の力や使用時の負荷、いわゆる力が面に対して作用する事です。
化学物質とは、洗剤・掃除に使用する際の薬品などです。
これらの3要素が重なることでケミカルクラックは発生します。
ケミカルクラックの発生しやすいケース
以下の表をご覧ください。これは洗剤などに含まれる薬品と樹脂の相性を示したものです。
薬品別でみると、ベンゼン・アセトン・酢酸エチルは大抵の樹脂に対して割れを起こす原因になるので注意が必要です。
一方樹脂別でみると、ABSとHIPS・PC・PPE-Mが比較的に薬品の耐性に欠けます。
まだ樹脂に薬品が触れるだけなら問題ないのですが、これらが締め付け嵌合部・人による力、物による加重等の応力がかかる部位であった場合、すぐさま環境の改善を行った方が良いでしょう。
ケミカルクラックを起こさない対策
洗剤の使用条件(記載されている薬品)を守って使用することが最善の対策です。
また、メーカー側は製品の使用環境を配慮した上で素材(樹脂)の選定を行う必要があります。
当たり前のことですが、ケミカルクラックが起きてから対策するのではなく、起こさない対策をすることが大切です。
なお、ケミカルクラックを起こした製品をそのまま使用するのはお控えください。
設置場所によっては破損した際に怪我をしてしまう恐れがあります。
早急に対象部位の交換をしましょう。
まとめ
ケミカルクラックとは樹脂に応力と薬品が関わることで起こる割れの事です。
耐用年数をはるかに下回るタイミングで割れてしまうため不良品扱いとされてしまいます。
洗剤などの薬品に触れるケースが考えられる樹脂成形品の素材選定は慎重に行いましょう。