ナイロンのガス成形不良
2014年07月25日
当社の成形でよく使う材料にナイロンがあります。
ナイロンとは本来デュポン社の商品名です。正式にはポリアミド樹脂のことで6PA・66PAなどを言います。
一般に繊維や袋などによく使われ、インジェクション成形で機構部品の材料としてもよく使われますが、成形においてはPPなどの汎用樹脂にくらべ、ひと癖あります。
ナイロンの成形不良でてこずるものにガスの発生によるものがあります。
ガスの発生はナイロンに限ったことではありませんが、吸湿性の高い樹脂のためか乾燥不足などがガスの原因となることが多いようです。乾燥をしっかりやればガスの発生はある程度、抑えられるのですが乾燥中に原料が焼けて黄変してしまうことがよくあります。黒着色の成形などは問題ないのですがナチュラル(原色)や白の成形品では色の管理が難しくなります。ですからナイロン原料は開封後は出来るだけ打ち切りで使い切るようにしています。
ガス対策としては原料の乾燥のほかにガス抜きやベントなど金型での対策が基本ですが、それだけではどうしても解決できない場合も出てきます。そういった場合は成形機にひと工夫が必要です。
当社では東洋機械金属さんのサグスクリューというものを導入してます。このスクリューは樹脂の可塑化工程での過剰なせん断熱を抑制することでガスの発生を抑えます。
詳しくはこちら・・サグスクリューについて(東洋機械金属株式会社)
もうひとつはシンセイさんの最適供給シリーズ・適量供給・ガス吸引装置。こちらの装置は原料をシリンダーに供給するとき自然落下による飽和供給でフィード部が無理に樹脂を押し込む状態になるのを抑制します。すると樹脂から発生した水分やガスは樹脂間のすき間を通ってシリンダー後方へ排出されシリンダー内の残留気体を著しく低減させます。結果、金型へのガスの流入を防ぎ、ガスやけなどの不良を防ぐことが出来ます。
どちらの装置もあるナイロン成形品のガス焼けがどうしても解消しなかったとき、試験的に採用し一定の効果が認められたため導入しました。