樹脂成形コラム

熱伝導性プラスチック

樹脂成形コラム

2013年06月13日

以前、LEDの放熱板として熱伝導率のいい材料を探していたことがありました。

輝度を上げたLEDは発熱量が増加し,その熱によってLEDの劣化が加速されるという 問題があります。LEDの劣化を抑制するためには,熱を効率的に逃がし,LEDの温度を低減 する必要.があります。

そういったニーズからプラスチックの原料でも熱伝導率のいい材料が開発されてきてはいますがやはりアルミなどの金属に比べると熱伝導率ははるかに低くなかなか簡単にはいかないようです。

例えば高密度ポリエチレンの熱伝導率は0.4~0.5W/m/Kに対しアルミニウムは236W/m/Kと比べるべくもありません。最近開発された射出成型 用の材料にしても汎用樹脂の何十倍の伝導率といわれますがそれでも20~30W/m/Kがいいところではないでしょうか。セラミック(陶器)の熱伝導率に は近づけるかもしれませんが金属には遠く及びません。

それでもこういった樹脂が開発されるのは量産性、加工性に優れた樹脂成型品にすこしでも放熱性能が欲しいといったニーズがあるのでしょう。

 

先日、原料商社の方がエラストマーの放熱グレードの紹介にこられました。エラストマーのため柔軟性があり引張り伸びが大きいためクッション性を有し、3次元形状への追随が可能です。

エラストマーであることのメリットは熱源やヒートシンク表面の凸凹に追随、密着することにより接触面積が大きくなり優れた放熱効果を発揮するとのことで す。熱伝導率は一般グレードが0.3W/m/Kに対し2~3W/m/K。材料価格は汎用樹脂と比べて一桁変わりますが、柔軟性と放熱性が必要な材料をお探 しの方は御一考を。

 

余談ですが天然鉱石の中で一番熱伝導率が高いものはダイヤモンドで1000~2000W/m/Kだそうです。寝苦しい熱帯夜にはダイヤモンドを敷き詰めたベッドがあればきっと快適に眠れるはず。

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