これは多くの現場で見られる現象で、その根本原因のひとつが「残留応力」です。この残留応力を取り除く処理が「アニール」です。
アニールとは、成形直後の樹脂内部に残る応力を熱処理によって緩和・除去する工程のこと。応力が残ったまま使用・加工を行うと、以下のような問題が起こることがあります。
これらのトラブルはすべて、「アニール処理で回避できる可能性がある」のです。
あるお客様から「PA(ポリアミド)樹脂の成形品が割れて困っている」とご相談がありました。そこで、80℃の蒸気アニールを1時間かけて処理したところ、大幅に改善。割れの発生率は劇的に下がりました。
ただし、それでも数%の確率で割れ品が出る──。
ここで注目すべきは、「アニール時間の最適化」です。
同じ80℃でも、アニール時間を1時間 → 2時間 → 3時間と増やしていくと、割れの発生率はさらに低下。均一な吸水が促され、成形品内部の応力も安定して解放されていきます。とくにPA樹脂は吸湿性があるため、この効果が顕著です。
割れがゼロにならない原因のひとつとして、「庫内での吸水率のバラつき」が考えられます。特に、小さな部品をアニールカゴにまとめて入れると、重なった箇所だけ吸水が不十分になることがあります。このような場合、アニール時間を延ばすことで全体に均一な処理が可能になります。
もちろん、「時間を増やせばいい」という単純な話ではありません。成形品の形状、肉厚、材料グレードなどによって、最適な条件は異なります。しかし実際に、アニール時間を調整することで割れや歪みを解消できた事例は数多くあります。
弊社では、PA樹脂をはじめとした各種エンプラのアニールテストにも対応しております。「少量でまず試してみたい」というお客様には、サンプルテストも承っております。
「割れる」「歪む」──そんなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、アニールの可能性をご検討ください。
成形直後は割れなどの問題はないのでが塗装や接着をすると割れが発生するとのことでした。特に透明の成形品に多く見られる現象です。
どんな成形にも成形時に金型に押し込む圧力が内部応力(残留応力)として残ります。この内部応力は外的要因(温度など)により応力が開放されたりすると反りなどを発生させます。この外部要因に塗装や接着剤などの溶剤的な要因も含まれます。溶剤が外部刺激となり残留応力が開放されるとクラック(割れ)につながります。問題解決のためには塗装や接着の前にアニール処理で応力を取っておく必要があります。
品質 量産成形 アニール処理>一般的にナイロン製品に強度を持たすためには温水層で数時間吸水させますが、その際、製品から水中に染み出た可塑剤などの添加物が、製品に付着して外観を汚してしまい、それをふき取る余計な工程が発生しコストアップになっていました。
当社のアニール機は浸水式ではなく業界でもめずらしい蒸気で処理するタイプを設備しております。蒸気ですので製品の添加物が染み出すことも無く製品を汚しません。乾燥も短時間で完了しますので余計な工程を削減します。また温度と時間管理で吸水率を管理できますので品質も安定します。自動車の重要部品など普通のアニール機で解決できなかった問題も解決した事例もあります。
品質 量産成形 アニール処理