樹脂成形コラム

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生分解性樹脂ってどうなの?

樹脂成形コラム

2014年11月5日

数年前から度々取り上げられるプラスチック材料に生分解性樹脂っていうものがあります。

「環境にやさしい」「土に帰る」 色んな言い方で注目されてきましたが、なかなか汎用化しませんね。

そもそもプラスチック長所って腐らない、分解しづらいって所にあるのに、腐ります、土に帰りますってど

うしても矛盾が出てくるんですよね。で、最近求められるのが結局、従来のプラスチックと同等やそれ以上

の耐久性、耐熱性などの物性を求められる生分解性樹脂(もうこうなると生分解とは呼べませんが・・)と

言うことになります。・・で最近のキャッチフレーズは「植物由来樹脂」「カーボンニュートラル」と変化

してきています。つまり石油を原料としないプラスチック。大気中のCO2を吸収して育った植物を原料に

しているのでたとえ自然に分解しなくても焼却したときに排出されるCO2はプラスマイナスゼロ・・つまり

「カーボンニュートラル」だという理屈です。

現在はこちらの方向でポリ乳酸などをベースに高機能化が進んでいるようです。

当社でもユニチカさんのテラマックという材料で製品化された商品がいくつかあります。ポリ乳酸を高機能

化するためにポリカーボネイトとアロイにしたりしますが、かなり高価な材料なってしまいます。それでも

ヨーロッパへの輸出する製品には積極的に採用されています。(欧州は環境意識が高いんですね)

 

その植物由来樹脂(主にサトウキビなどから作られる)は最近ではPLA(ポリ乳酸)が代表格ですが、実

はもっと以前から植物由来樹脂は存在してたんです。謳い文句には使われていないので、あまり知られてい

ませんが「ポリアミド11」がそれで11ナイロンなどとも呼ばれています。この樹脂は植物から抽出され

るひまし油を原料としていますのでカーボンニュートラルに近い樹脂であるといえます。また耐熱性など機

能性も高く、実際に自動車のエンジン周りのダクトなどにも採用されています。代表的な商品名に「リルサ

ン」がありますのでご興味があれば検索してみてください。

 

本当の意味での生分解性プラスチックにはでんぷん系のバイオマスプラスチックがあります。とうもろこし

や米など天然資源のでん粉を変性することにより、疎水性と熱可塑性をもたせプラスチック化したものです。

当社もこの材料を使って何度かインジェクション成形を試みた経験はありますが、工場がおせんべいとプラ

スチックを足して2で割ったような異臭(決しておいしそうな匂いではない)に包まれて社員からギブアッ

プを頂きました。

用途としても冒頭に述べたとおり、プラスチックの代替品としては難しいように感じました。園芸関係者の

方から育苗トレーなどに使えないかとのお問い合わせも頂きましたが、一体、どれぐらいの期間で分解する

のかが解らなければ製品化しようがないとのことでした。ある一定の環境下でデータを取ることは可能なの

でしょうが、製品の肉厚や市場に出た後の保管、使用状況は千差万別で仮にそんなデータを取ったところで

意味を成さないとのことでした。(まあ当たり前ですね)

今のところ、私の知っている範囲で本当の意味で実用化されているのは農業用のフィルムシート又は包装資材

ぐらいではないでしょうか。勉強不足なら申し訳ありません。

 

というわけで・・ポリ乳酸(PLA)成形についてはお気軽にお問い合わせください。

 

ではまた。

 

 

 

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